同じ境遇の仲間同士の支えあい ピアサポート

闘病のヒント

ピアサポートとは

ピアサポートのピア(peer)は英語で、同じような立場や境遇、経験をする「仲間」を表す言葉です。ピアの語源は、等しい・似たという意味をもつラテン語(par)に由来しています。サポート(support)は「支援」です。
ピアサポート(peer support)とは、仲間同士の支え合いを表す言葉です。

がんや難病、障害などの同じ苦しみを経験する仲間による支えあい、だけでなく、学校の教育現場や職場の同僚によるピアサポートも進みつつあります。
ここでは、がん患者のピアサポートについてお話しします。

ピアサポーターとは

ピアサポートには1対1の場合もあれば、複数名のグループで行う場合があります。
当事者としてがん経験があり、その経験を生かして同じような境遇にあるがん患者さんの話を聞いたり、相談にのったりする人をピアサポーターと呼びます。

ピアサポーターになりたい

ピアサポーターになるための資格はありません。
しかし、がん患者さんを支えるうえで、自分の考えや価値観を押しつけない、治療や医療行為には踏み込まない、正しい知識や困ったときの情報源(社会資源や制度など)を知っている、相談者のプライバシーを守る、など持ち合わせておきたい心構えがあります。

ピアサポーター養成講座は自治体や患者支援団体が開催しています。

ピアサポーターに相談したい

ピアサポーターに相談をしたい場合は、ピアサポートを実施している医療機関や行政の窓口に行くか、患者会の電話相談や交流会などに参加する方法があります。

わたしは、2005年に自分が治療をしている病院の院内患者会を立ち上げたメンバーの一人でした。
当時はまだ、ピアサポートという言葉さえありませんでした。

その中で、さまざまな経験をしながら、一定のルールをつくったり、ピアサポーターとしての在り方について振り返り、検討したりしてきました。
つまり、歴史は浅く、わたしを含め先人たちが経験を経て歴史を作っている、という状況です。ピアサポーターを養成する研修の内容もさまざまです。

同じ疾患の患者さんが集まる患者会や、さまざまな疾患の患者さんを支えている病院内で実施しているピアサポート、組織として自己研鑽や研修を行っている患者支援団体へ相談するのが安心です。

がん治療にピアサポートが組み込まれた背景
2007年の「がん対策基本法(がん対策推進基本計画)」に当事者の主体性が明記。
2012年の第二次基本計画には「ピアサポートの必要性」が明文化された。

支えられる側から支える側へ

仲間の存在に支えられた患者さんは、時を経て素晴らしいピアサポーターへとなっていきます。
患者会を開催していると、不安や悩みが大きかった患者さんほど、いつの間にか支える側になっている、という場面を経験します。

アドラー心理学の「勇気づけ」は自分を励まし、大切な人を励ますものです。
「勇気」とは、困難をのりこえ、変化・成長し続けるために必要なエネルギーのこと、と定義しています。
「勇気づけ」とは自分自身や他者に困難を克服する活力を与えること。

ピアサポートはまさに、他者の力を借りて「勇気づけ」られ、困難をのりこえるための心のガソリン「勇気」で満たされること。のりこえると、無条件に仲間を励ます「勇気づけ」る側になる。
誰かを「勇気づけ」ることで結果的に、自分もまた「勇気づけ」られる。
そんな循環が起こる場だと感じています。

だからこそ、つらい・苦しいという「心」にフタをせず、ピアサポーターに頼ってほしい、と思います。
すべて、循環します。

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